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加盟の際の基礎知識

21.加盟後のトラブル処理

トラブル処理の方法

トラブルの多くは,業務運営に関する苦情から始まるが,お互いの話し合いにより誤解がとける場合が少なくない。しかし,対応が不十分な場合には訴訟問題となり,裁判所の和解調停または判決による解決が必要な案件に発展していくケースがほとんどである。そこで,誰にトラブル処理を申し出るのか,申し出にあたって注意する点について以下に説明していく。

① 誰に申し出るのか

a.日常のフランチャイズ・システム運営について

加盟者は,通常本部から店舗運営のために派遣されたスーパーバイザー(SV)と接触する機会が多いので,まずSVに申し出てください。このとき得られた回答が十分でない場合は,フランチャイズ本部に申し出るとよい。

b.十分な話し合いをしても,契約内容が不履行の場合

(一社)日本フランチャイズチェーン協会,最寄りの商工会議所・商工会および中小小売商業振興法を所管する経済産業局,独占禁止法を所管する公正取引委員会地方事務所の相談窓口へ申し出を行う。なお法的手段を考えている場合は弁護士への相談が適切と思われる。

② 申し出るにあたっての注意点

フランチャイズ・システム契約はあくまで,事業者同士の2者間の商法上の契約である。したがって,通信販売のような消費者による契約ではないので,加盟者からの一方的な解約はできない。

【トラブルの経緯の整理】

フランチャイズ本部において問題の円満な解決が行われるためにも,また,不幸にして法令違反について所管の役所への申し立て,裁判所への審議の申し立てを行うにしても,どのようなことがトラブルの争点になっているのかが明確になっていることが重要である。

したがって,次のような点に留意することが必要です。

  • 「言った言わない」が一番問題となるため,誰とどこでどんなやりとりを行ったのかを時系列的に記録しておきます。相手との会話をテープに録音する等の方法も有効でしょう。
  • 通常,トラブルの争点は1つであることは少なく,複合的であることが多いものです。たとえば,「間違いないといわれた売上予測がはずれ,売上増加策の支援もしてくれなかった」といった場合は,それぞれの事項について整理することをお勧めします。
  • 現在トラブルが原因で売上にどのような障害が発生しているのか,計数的に把握できればそのデータも保存しておきましょう。

③ 合意成立時の処理

これまで述べてきた解決方法は,基本的には当事者の合意によるものである。紛争というものは当事者の合意と納得により解決されることが望ましいことはいうまでもない。仮に金銭の支払義務が発生する場合でも,当事者の合意があったほうが現実的な履行が可能だからである。
一定の合意が成立した場合は,その内容を「合意書」,「和解書」の形で確定させておくようにする。また,加盟契約を解約する場合は「解約合意書」を忘れないことが必要である。
なお,当方が相手方に対して債権を有しているが,相手方の対応に不安が残る場合は,当該合意書を公正証書の形で残すことをお勧めする。公正証書中に「…については強制執行をすることができる」という条項を入れておけば,相手方が支払わないときに強制執行をすることが可能となるためである。

 

当事者の合意で解決しなかった場合

当事者の合意で解決しなかった場合は,訴訟等の法的手段に訴えることになります。具体的なことは弁護士と相談のうえ対応を決めてください。なお,フランチャイズ・システムの訴訟に精通した弁護士に依頼するようにしてください。
中小小売商業振興法施行規則の改定により,法定開示書面に訴訟件数を記載することが必要となって以来,フランチャイズ本部は訴訟を回避したがる傾向にあると思われます。ですから,いきなり訴訟を提起するのではなく,裁判所の調停を間にはさむことも有効な手段です。

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