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改正中小小売商業振興法施行規則に関するQ&A

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会は、改正中小小売商業振興法施行規則に関し、フランチャイズ本部からの質問等をQ&A形式にまとめましたので、法定開示書面の作成等にあたり、ご確認くださいますようお知らせします。

                                       掲載:2022年3月31日
                                       更新:2022年6月15日
 

Q1

本改正において「当該特定連鎖化事業を行う者が把握している加盟者の店舗に係る次に掲げる項目に区分して表示した各事業年度における金額」が追加されましたが「把握している」とはどのような意味ですか。

A:中小小売商業振興法施行規則第11条七のイにおいて「当該特定連鎖化事業を行う者が把握している」加盟者の収支に関する情報の開示が求められています。立地条件が類似する加盟者の店舗の収支に関する情報が開示対象なので、フランチャイズ本部がいくつかの加盟者の収支に関する情報を偶々把握しているというのでは不十分であり、例えば、経営状況が悪化した加盟者しか収益状況を把握していない場合は、「把握している」とはいえないと考えられます。本改正の趣旨から、「把握している」の意味としては、契約やマニュアル、運用等により、加盟者全体を対象として、組織的に「把握している」ことが必要と考えられます。

Q2

既存の加盟者の店舗のうち、立地条件が類似する店舗について、本部が法定項目を「全く把握していない」または「一部のみ把握している」場合、記載方法はどうなりますか。

A:具体的に開示義務を負うのは、本部が「把握している」加盟者の収支に関する情報であり、本部が把握している加盟者の収支に関する情報に応じて開示する義務を負います。本部が一部の法定項目のみ把握している場合、その一部が開示対象となります。ロイヤルティが定額制であり契約上加盟者が本部に対して売上高も報告していない場合を除き、売上高は開示対象となります。また、定額制であってもロイヤルティは開示対象となります。

Q3

サービス業を展開するフランチャイズ本部で、既存の加盟者の店舗のうち、立地条件が類似する店舗について「本部が把握している」場合、情報を開示する必要がありますか。

A:中小小売商業振興法の対象は小売業のみです。したがって、サービス業の場合は、法律上開示義務を負うわけではありません。他方、サービス業を展開するフランチャイズ本部においては、本改正の趣旨も踏まえた上で、本改正により追加された項目について情報開示いただくことが望ましいです。

Q4

新規加盟者を募集するとき、現在直営店のみで、加盟者が存在しない場合はどうなりますか。

A:開示対象は、加盟者の収益に関する情報であり、直営店の情報ではありません。したがって、開示義務はありません。

Q5

加盟希望者への事前説明が3月31日までに終了し、契約締結日が4月1日以降のように、改正法の施行日をまたぐ場合「本部が把握している」情報を開示する必要がありますか。

A:中小小売商業振興法第11条により「当該特定連鎖化事業に加盟しようとする者と契約を締結しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、あらかじめ、その者に対し、次の事項を記載した書面を交付し、その記載事項について説明をしなければならない。」と規定されているところ、「あらかじめ」は、契約締結前という解釈が前提ですので、令和4年4月1日以降に契約が締結される以上、中小小売商業振興法施行規則改正後の開示書面を交付し、説明することが求められていると解釈されます。

Q6

法定項目③の「商号使用料、経営指導料その他の特定連鎖化事業を行う者が加盟者から定期的に徴収する金額」についての記載方法はどうなりますか。

A:例えば、ロイヤルティ、チャージ、建物転貸料、システム利用料、広告分担金等、加盟者から定期的に徴収する金額を全て記載します。

Q7

法定項目⑤の「販売費及び一般管理費」についての記載方法はどうなりますか。

A:例えば、地代家賃・広告宣伝費・リース料・減価償却費・水道光熱費・廃棄費用等、法定項目③及び④(人件費)の項目を除く本部が把握している販売費及び一般管理費のうち当該項目の金額の占める割合の大きい項目等、営業実態に照らし経営状況の把握のために重要な情報になると考えられる項目及びその金額について開示します。

Q8

法定項目⑥の「その他収益または費用」についての記載方法はどうなりますか。

A:上記同様、営業実態に照らし経営状況の把握のために重要な情報になると考えられるものについて、その項目・金額を開示します。本部が加盟者に対して負担する金額がある場合はここに記載します。

Q9

年度、金額・単位についての記載方法はどうなりますか。

A:事業年度は、本部の事業年度によらず、本部が把握している加盟者の事業年度により判断します。例えば、本部の事業年度が3月から2月、本部が加盟者の事業年度を1月から12月で把握している場合には、1月から12月を事業年度としてその加盟者数値が開示対象となります。また、開店後3事業年度を経過していない店舗が対象となる場合、既存の経過事業年度分に対応する(1事業年度または2事業年度の)金額を記載します。開店後4事業年度以上を経過している店舗が対象となる場合、直近3事業年度分を遡った期間の金額を記載します。
金額については、各法定項目に対応する金額を示すことで足り、各事業年度における当該店舗の収益・費用の合計額や最終利益額の開示は任意となります。必ずしも1円単位で記載する必要はなく[千円/万円]単位の記載でも構いません。

Q10

開示する店舗数はどうなりますか。

A:立地条件が類似すると判断される店舗が複数存在する場合、本部が定めた任意の基準を用いて複数の店舗を選定し、開示することができます。(契約タイプ、免許品の有無、経過年数等、その他店舗経営に関する諸条件も付記することが望ましい。)ただし、具体的にどの店舗の情報であるか特定されないよう工夫することが必要です。

Q11

立地条件が類似すると判断した根拠の記載方法はどうなりますか。

A:立地条件の分析に用いる全ての判断要素や具体的な数値を詳細に記載することまでは求められていないので、主な判断要素を例示して列挙しても構いません。
立地条件の分析に用いる全ての判断過程を詳細に記載することまでは求められず、例えば、立地条件の判断に用いている立地区分の構成と区分方法を説明の上、対象店舗がそのいずれかに該当するか等を記載することでも構いません。
立地条件の判断要素となる人口や交通量等は、本部が現に把握している限りで直近のデータを用いることで構いません。
※判断要素の例
以下に挙げるものは参考例であって、必須項目ではなく、また全てを網羅する必要はない点留意が必要です。
・周辺の就業人口、世帯人口
・周辺の交通量
・公共交通機関等の施設の有無
・営業時間
・立地区分(幹線道路沿い・街中立地・住宅街立地・施設内立地・特殊立地等)
・契約形態
・競争環境
・その他業態固有の要素
※上記の情報を開示する場合において、公正取引委員会のフランチャイズ・ガイドラインでは「厳密な意味での予想売上げ等ではないことが加盟希望者に十分に理解されるように対応する必要がある」とされています。
説明の際には、「立地条件が類似する店舗の収支を加盟希望者の参考のために開示するものであり、収支に関しては加盟者の経営戦略(積極的販促活動・営業方法の有無、積極的な設備投資や取扱商品の拡充等)により、大きく売上や収益に差が出ることが一般であることを前提として、あくまでも参考数値として開示したものであり、実際の売上げまたは収益を予測するものではなく、またこれを保証するものではない」等の説明を付記し、かつ補足説明することが必要です。
また、本部の考える適切な経営戦略を実施した場合のモデル損益を同時に開示しても構いませんが、その場合、開示した項目、数値とモデル損益との区別、違いについても十分に説明し、かつモデル損益についても、「あくまでも参考数値として開示したものであり、実際の売上げまたは収益を予測するものではなく、またこれを保証するものではない」等の説明を付記し、かつ補足説明することが必要です。

Q12

加盟希望者の店舗候補地が具体的に決まっていない状態で法定開示書面を提示する場合、立地条件が類似する加盟者の店舗の収支に関する情報について、どのような形で、どのようなタイミングで開示すればいいですか。

A:本来、店舗所在地が契約内容となる場合であれば、店舗所在地が決まってから法定開示書面を提示すべきですが、そうしない合理的な理由があり、かつその旨加盟者の了解を得て、類似店舗の収益に関する情報以外の内容が記載された法定開示書面を提示し、その後、店舗所在地が決まった後、契約締結前に類似店舗の収益に関する情報を記載した法定開示書面を示すのが原則です。なお、例えば、契約締結前に具体的な店舗候補地が決まらない場合には、Q11のとおり、あらかじめ立地区分ごとの加盟店の収支の情報について整理した上で、加盟希望者の店舗候補地の立地区分が該当しうる全てのパターンの区分の加盟店の情報を開示することで対応することも可能です。

 

Q13 NEW

既存加盟店の経営者交代をする場合も、当該店舗の他類似店の情報開示が必要でしょうか。

A:まず、既存加盟店の経営者交代をする場合の意味ですが、既存加盟店の経営者交代が個人であれば、まさに加盟者は新たに加盟するので、法定開示書面の交付が必要となります。既存加盟店の類似店はまさに当該既存加盟店の情報なので、開示する情報が特定されてしまいます(既存店以外に類似店舗を挙げる意味は認めにくいと考えられます)。そこで、①中小小売商業振興法施行規則という法令上開示が義務付けられることから、秘密保持義務の例外であると説明するか、②念のため、既存加盟者に当該店舗の情報開示の同意を得ることが望ましいでしょう。
既存加盟店の経営者交代が法人であれば、経営者すなわち代表者交代により法人の同一性は損なわれないので、新たな加盟ではなく、法定開示書面の交付は不要です。

 

 

以上

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